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2013年02月25日

僕なりの製麺論。

一昨日のメタボ柿原さんのブログ(リンク有り)に載ってた下の部分。


           ↓
 

【麺がミルフィーユのように層になってるのが分ると思いますが、香川の人間なら経験で知ってるように
こう言う層が出来ているうどんは美味しいですよね。 うどんの団子を折りたたむ時に層が出来るんです
がここに空気が入っていると言われてます。 宮武系で約1000層ぐらいになるそうですが、ここが最後の
さぬきうどんのアドバンテージなんです。 この空気の層が、腰が有るけどふわっとしている食感を生み
出します。

何度も折りたたんで、踏んで寝かしてと言う行程を取るんで、場所が必要なんです。 そこが大阪や東京
の厨房の狭いうどん屋さんでは真似が出来ないとところ。】





先日、会話中に「それはちゃうと思いますね~、またブログに書きます。」って言って書いてなかったのを昨日思い出したので書かせてもらいます。



【本当に層がアドバンテージか?】

まずは層の出来る過程を・・・本なんかにも載っているので宮武一郎さんのやり方を元に検証します。

①まずは練った生地をシートに広げ踏みます。それを三つ折りに。
②その生地を三つ折りに・・・合計7回繰り返します。

3x3x3x3x3x3x3=2187

という数字が出てきました。
なので、単純計算で2187層です。


折って踏むのって大変なんです。
生地が段々反発してきて・・・で、固くなってきて段々折れなくなってきます。
時間をおいて柔らかくなるのを待って、踏んで・・・。


・・・で、層を増やすのって大変か?と言うと意外とそうでもありません。



簡単に層を増やすだけなら、5回目くらいでやめて切って上に重ねて足してやったら増えるからです。
これで層が増えてOKか・・・って言ったら違いますよね?



やっぱりある程度の層は必要だと思いますが、それが全てでは無い気がします。

それに県外の狭い厨房でも、2キロとかに切り分けて折って踏んだら狭いスペースで簡単に出来ますもんね。
「切り分けて踏むのって手間がかかる」と思われがちですが、1.2割増しくらいで済みます(僕がやってます)。

美味しいものを作るためなら大した手間ではありませんよね。

県外のうどん店が出来ないことは無いと思います(釜たけさんや讃州さんはしっかり折って踏んでます)。
だからアドバンテージにはなり得ないと思っております。


それに7回も折って、固くなったグルテンが落ち着くのに時間を要します。
時間をかける=熟成中=「脱気」という状態になり空気が抜けてきます。

なので、折って空気を入れても熟成により空気が抜けてきます。





【個人的に一番大事だと思う部分】


14年ほどやってて、やっぱり一番大事だと思うのは「適正な水加減、塩加減」でしょうね。
いくら折りたたんでやっても、ここの数字が適正で無いと美味しいものは出来ません。

生地は柔らかすぎたらいくらでも折れますが層は潰れるし、固すぎたら折れません。


だからこれさえ合ってれば、まあまあ美味しいうどんは必ず出来ます。
(茹で加減、混ぜ加減が同じ前提で)



美味しいうどん作りの根幹は「適正な水加減、塩加減」であり、層を作る行為はあくまでも枝葉だと思われます。

「適正な水加減、塩加減」を元に、折っては踏んで・・・で混ぜ効果、鍛え効果が加わります。




ちなみに僕の思う県外のうどん屋さんとのアドバンテージは、先輩方が作り上げてきた膨大な「成功例、失敗例」の積み重ねだと思っております。
知らず知らずのうちに、その恩恵にあやかっていると常々感じます。



・・・いや、そもそも県外のうどん屋にアドバンテージを付けているとさえ思っておりません。






長くなりましたが、現在の僕なりの製麺論です。

反論するみたいになりましたが、ちょうどいい比較対象になりましたので・・・。







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